取引事例のご紹介

畑中不動産事務所

最近の取引で、久しぶりに「容積率オーバー」の不動産にあたりましたので、ご紹介したいと思います。建ぺい率オーバー・容積率オーバーの案件は、査定の段階ではなかなか気づきにくいことがあり、この点は同業者の方なら共感いただけるのではないでしょうか。

狭小地や駅前の商業ビルなどを除けば、津市の街中で日常的に建ぺい率・容積率を強く意識する場面は多くありません。そのため、登記簿に記載された土地・建物面積を見て、実際に建ぺい率や容積率を計算した経験があまりない不動産会社の方もいらっしゃるかもしれません。

容積率は建築基準法上の制限ですが、図面や役所資料が揃っていない、増改築の履歴が不明確、といった事情があると、机上査定では「何となく違和感がある」程度で止まり、見落としにつながりがちです。特に築年数が経過した建物では、当時の資料が残っていないケースもありますし、後年の改修で延べ床面積が増えている可能性もあります。その結果、現況の把握に想定以上の時間がかかることもあります。

一般に、建ぺい率・容積率オーバーの物件は「既存不適格」と「違反建築物」に分かれます。既存不適格は建築当時は適法だったものの法改正等で現行基準に合わなくなった状態で、違反建築物とは性格が異なります。 一方で、違反建築物に該当する場合は、担保評価が出にくいなどの理由から買主側の住宅ローンが通りにくく、結果として流通性が下がる点が大きな課題になります。 そのため売却時には、現行法の規制内容の再確認や、前提条件を含めた算定のやり直し(計算の前提が誤っていて、実は適合している場合もあります)を行い、買主に対して事実を正確に説明する姿勢が欠かせません。

今回のケースは築35年を超えており、建物としての価値、今後の修繕負担、そして容積率超過が売却条件に与える影響を総合的に検討した結果、「更地にして売却する」という判断を取りました。建物付きのままだと融資面で検討できる買主が限られやすい一方、土地として売却する形に切り替えることで、検討層が広がる可能性があります。 ただし、更地化は解体費用が発生することに加え、住宅用地の特例が外れて固定資産税負担が増える可能性があるなど、コスト面の注意も必要です。

こうした案件では、査定の初期段階から「法規制の確認」と「出口(どう売るか)」をセットで検討し、売主様の希望するスケジュールや手残り額の見通しを踏まえて最適解を選ぶことが重要だと、改めて実感した取引でした。

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