不動産を売却した場合、利益が出てしまうと譲渡所得税がかかります。5年以上の保有の土地建物の場合約20%の税金となります。500万円で売却した場合、おおよそ100万円の税金がかかるということですね。
今回ご紹介する制度は、【低未利用地の適切な利用・管理を促進するための特例措置】です。
売却価格が低いと、手元に残るお金が少なく、世の皆様は積極的に不動産を売りません。そのため、空き地や空き家が増えてしまいます。それを少しでも解消しようということで、2020年7月より国策として特別控除が運用されています。
<低額不動産取引の課題>
①想定したよりも売却収入が低い
②売却価格が安くても測量や解体費などの譲渡費用は安くならないため相対的に負担が重い
③課される譲渡所得税の負担感が大きい
この制度を利用するとどれぐらいのメリットがあるかというと最大20万円です。
③の税負担の緩和のため、この措置は個人が保有する低未利用地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の金額から最大100万円を控除するというもの。
100万円安くなるわけではなく、長期譲渡所得(課税対象額)から100万円を控除するということで、現実的には約20万円支払う税金が少なくなるということです。
最初に500万円で売却した時の税金がおおよそ100万円とお伝えしましたが、それが80万円になるわけですね。
もう少し具体例を見ていきましょう。
実家を相続し、売却したい。建物を解体して更地で400万円の査定価格となったケースを試算します。津の街でよく見かける事例です。
解体業者から200万円の見積もりと土地家屋調査士から確定測量費用として40万円の見積もりが出てきたら、
400万円-(取得費20万円+譲渡費用240万円)=140万円
140万円×長期譲渡所得の税率20%=28万円
手元に残るお金=140万円-28万円=112万円となります。
ここに今回ご紹介の低未利用地の譲渡の特例が利用できると
400万円-(取得費20万円+譲渡費用240万円)=140万円
譲渡所得140万円-控除100万円=40万円
40万円×長期譲渡所得の税率20%=8万円
手も元に残るお金=140万円-8万円=132万円
このように20万円手元に残るお金が多くなります。
(※計算上、取得費不明を想定し、譲渡価格の5%を採用。復興特別所得税は割愛した。)
では次にどんな場合に低未利用地とされるのか見ていきます。
・土地(とその上物)の取引額の合計が500万円以下である
(※今年1月から市街化区域の譲渡価格の上限を500万円から800万円に引き上げられた)
・都市計画区域内の低未利用地土地である
・その土地の所有期間が5年を超える
他にもいろいろと条件があるのですがおおよそこのような条件下のもと適用されるチャンスがあります。(もっと詳しく知りたい方はこちら)
昨年2022年の1年間の利用は全国で4842件。津市は59件となっています。
2023年1月から市街化区域は800万円までこの制度にあてはまる可能性がありますので、もっと件数が増えていくかもしれません。
あなたの土地はどうですか?実は我が家にも低未利用地があったりします。
不動産を売っても手取り額は結構目減りするのがつらいところですね。
なお、相続して3年以内に売却の場合は、3000万円の控除があり、そちらの方がお得です。
相続してすぐには処分しにくいものですが、せっかく残してもらった不動産。
よくよく考えてみてください。